学生と宇田先生

「EUフィルムデーズ2023」初日イベント

「EUフィルムデーズ」開幕

日本では、通常なかなか見ることのできないEU加盟各国の映画が一堂に上映される映画祭

「EUフィルムデーズ」が開幕されました(主催:駐日欧州連合代表部ほかEU各国大使館及び文化機関)。この映画祭は、東京、京都、広島、福岡を巡回されますが、スタートを切る東京(会場:国立映画アーカイブ)で、2023年6月2日に初日イベントがありました。Media Plus編集部もメディアとして記者会見、レセプションに出席しましたので、その様子をお伝えします。

学生潜入リポーター
学生潜入リポーター

オープニングトーク

初日イベントは、アンドニオ・ルキッチ監督の 「ルクセンブルク・ルクセンブルク」特別上映(ウクライナ:2022年)と、その後に行われた、来日した上映作品の監督たちによるオープニングトーク(記者会見)、さらに関係者を招いてのレセプションでした。

取材班は、「ルクセンブルク・ルクセンブルク」上映後のオープニングトークから国立映画アーカイブのB1Fの会場に入りました。オープニングトークでは、ルキッチ監督のほか、「タイガーズ サンシーロの陰で」(スウェーデン:2021年)の主演とロニー・サンダール監督「ケースのために出来ること」(オランダ:2014年)及び「ケースがはばたく日」(オランダ:2023年)の主人公ケースさんとモニーク・ノルテ監督、そして、当日午前中にJIU紀尾井町キャンパスでプレミア試写会とQ&Aが実施してくれた「母」(ブルガリア、クロアチア、ドイツ、ポーランド:2022年)のゾルニツァ・ソフィア監督が登壇し、それぞれの自己紹介及び作品紹介が行われました。

客席は、この特別上映とオープニングトークに訪れた映画ファン、映画・大使館関係者、そして私たちを含めたメディアが、これから始まる期待感と華やかな雰囲気にあふれていました。それぞれの監督は、日本で自身の作品が日本で上映されることへの喜びと期待を口にしていました。また、「日本人観客の感想が聞きたい」と全員が話していたことが、とても印象的でした。普段、観客である私たちにとっては映画とは「観るもの」と認識していますが、製作者にとっては、コミュニケーションの手段である、ということに気が付かされました。

中でも印象的だったのは、「ケースのために出来ること」「ケースがはばたく日」の主役であるケースさんが、生き生きとした自己紹介と自身の映画に対する喜びを表現されたことで、会場から自然と拍手が沸き上がっていたことです。自閉症を持つケースさんにとって、2つの作品はまさに自身の表現なのだということを、認識させられました。私自身は、映画ファンと呼べるほどではないですが、そのような私にとっても映画に関わる人々が、自身を表現する分身として映画を愛し、そして観客である私たちとのコミュニケーションを求められているということを強く感じました。

最近は、日本国内で公開される映画は邦画が洋画を上回っているとのことで、邦画が元気であると考えれば日本の映画製作者にとっては喜ばしいことかもしれませんが、逆に言えば、観客である私たちが外国映画に触れる機会が減っているとも言えるかもしれません。私たちが目にすることのできる洋画の大半はアメリカ映画であり、EUをはじめとした他の国々の映画に触れる機会は、ますます少ないように感じられます。多様性が大事にされる今の社会において、それぞれの社会・文化を知るには最高の手段である映画の多様性を広げてくれる「EUフィルムデーズ」は、EU映画ファンだけでなく、広く私たちが触れるべき多様性の機会をくれているのだと思います。今回、来日しオープニングトークに登壇された監督の作品以外にも、アニメ、ドラマ、ドキュメンタリーと数多くの興味を惹かれる作品が、上映されます。足を運ぶべき価値のある映画祭だと実感しました。

レセプション

映画と映画祭について思いを巡らせていると、お腹が空くものです。時間は午後7時前、いよいよレセプションの時間です。国立映画アーカイブから徒歩一分のレストランが会場とのことで、私たちも移動しました。EUの外交官、映画関係者など、関係者しか入場できない会場に私たちも招待状をいただいており入場します。私たちの取材申請を快く受け入れて下さった関係者の皆さまへは感謝しかありません。しかも、レセプションを取材しているメディアはほぼ私たちだけ(個人で関係者として出席されていた方々はいらっしゃいましたが)でした。

出席の皆さんが集まると、すぐにEU代表部の方のご発声による乾杯がありました。以前に、同じようなレセプションに参加したことがありますが、その時は乾杯まで何人もの方のスピーチがあり、多くの人がグラスを持ったまま、乾杯まで過ごしていました。それと比べて、ヨーロッパの方のなんと合理的なことでしょうか。乾杯の後で、飲み物や軽食を立食スタイルで楽しみながら、スピーチを聞きます。こんなことからも、ヨーロッパの洗練された文化の一端を感じることが出来ました。

EUフィルムデーズ2023初日(午後の部)

出席されていた何人かの方とお話をすることが出来ました。

飯嶋 元さん

シンガーソングライターで著述家の飯嶋さんからお声をかけていただきました。渋谷クロスFMでご自身の番組をお持ちのパーソナリティーでもある、飯嶋さん。番組で、この「EUフィルムデーズ」を取り上げられたそうで、取材を兼ねてのご出席とのことで、とても精力的に取材をされていらっしゃいました。取材メディアの一員と参加している私としては、お手本とすべき取材ぶりでした。飯嶋さんの番組「Gentle Lounge」(渋谷クロスエフエム:第2水曜20:00~)も要チェックだと思います。

ゾルニツァ・ソフィア監督

今日は朝から、お世話になっているソフィア監督にレセプションでもお目にかかることが出来ました。私からお声をおかけしました。日本での滞在をとても楽しまれているそうで、午前にインタビューでもお伺いしたように、日本庭園の美しさと温泉の心地良さを語られました。また、宇田先生とも話が盛り上がっていて、「リスクを取ることの大切さ」「自分自身であることの大事さ」で2人で共感されている様子をみて、異なる文化・社会にいても、人は共感出来ることを目の当たりにすることが出来ました。最後はお2人でハグされており、すっかり親友となられている様子でした。

学生では、普段は入ることのできない関係者のレセプションにまで潜入して、映画関係者の皆さんの交流の様子をうかがうことが出来ました。あらためて取材を許可していただいた皆様、そしてソフィア監督をはじめ、映画関係者の皆さまに感謝いたします。今回の経験を通じて、映画のコミュニケーションのメディアとしての力を実感するイベントでした。「映画で国境を超えることが出来る」、そんなことを強く感じる1日でした。

EU Film Days 2023 予告編

 関係Webページ

 EUフィルムデーズ公式ページ
 https://eufilmdays.jp
 国立映画アーカイブ公式ページ
 https://www.nfaj.go.jp
 飯嶋元さんFacebookページ
 https://m.facebook.com/gen.iijima1

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